『クライマキナ』レビュー

今回のレビューはこれ。当ブログにて初のPS5ソフトのレビューとなります。

フリューが送る、このブログでも以前レビューした『クライスタ』系譜もといクライシリーズの最新作です。

 

個人的に前作がかなり気に入ったので今作も購入という形に。

前作とストーリ的な繋がりはありませんが、スタッフはディレクターや作曲などほぼそのまま。前作のレビューで絶賛したリウイチさんは残念ながら未参加でしたが、代わりにRoluaさんという方がキャラデザを担当しています。

 

前作と同じく人格データ回想録(前作の死者回想録に当たる)を全部集めてお茶会の会話を全部見て真エンドまでクリアって所ですかね。

ちなみにトロコンしてました。狙ってなかったのに驚きましたよ。

ここまでのプレイ時間は約38時間

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以下、レビュー。

良かった所

百合要素ましましで出来の良いストーリー

前作クライスタに続いて、ストーリーは相変わらず面白かったです。

前作とは打って変わってゴリゴリのSF世界観なのですが、エゴを貫き戦う女性達の物語という根幹は変わりません。アンドロイドである彼女達が目標とする「本物の人間」の正体みたいに、SF好きのツボを抑えた要素も良かったですね。

 

シリーズを通し、キャラクターは最低限の数だからこそ無駄が無いのがポイントだと思います。脇役も含め全員キャラが立っていました。

機械の心というよくあるテーマではありますが、伏線張りと回収が周到であり、キャラクターの魅力と意外性のある展開で引き込まれます。

個人的に、ほぼ女性しか登場しないにも関わらず第二神機エクレシアみたいな男性人格のキャラにも花を持たせてくれたのが好感が持てましたね。

 

また、魅力的なキャラが多い中でも特に今作の看板キャラである第八神機エノアは良かったです。本作の魅力の大部分は彼女のキャラクター性に支えられてると言っていいのではないでしょうか。

機械として作られ、機械としての使命のみを目的として生きるエノアが少しずつ自身のありのままの心や愛の為に生きる決意をして行く過程は必見だと思います。

彼女が感情を爆発させるシーンは、イラストや声優の演技も相俟ってかなり心を揺さぶられました。

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一方、今作は前作にも増して百合みが強いのも大きな特徴です。

と言っても直接的な描写やそれを匂わせるガチなものは無く単なる友情とも解釈可能なライトな範囲に留まってるのですが、それを尊いと取るか苦手と取るかは人によるでしょう。

本作ではお茶会というシステムで拠点における仲間同士の掛け合いも豊富なので、パーティ同士の和気藹々とした関係性を前作以上に楽しめるものと思います。

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少しネタバレではありますが、正義の味方の物語とは決して言えないと思います。

しかし、それでもエノアが、彼女達が幸せに過ごせるのであればそれで良いと思わせてくれるのは、それ程本作のシナリオの魅せ方が優れてる証左と言えるでしょう。

前作比で格段に改善された戦闘システム

前作は戦闘がちょっと……だったのですが今作では流石に大幅な改善が為されてます。

 

スピード感が大幅に増しており、キャラの任意交代が出来ない代わりに近距離/遠距離攻撃の使い分けが出来るようになってよりメリハリの効いた戦闘が楽しめます。

存外に敵の攻撃がかなり痛いので油断してたら直ぐに死ぬし、同じレベル帯でもしっかり装備を整えないと苦戦は必至のバランスになっています。

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プレイアブルはレーベン、ミコト、アミの3人。

比較的オーソドックスな性能をしてるのはミコトで、レーベンはスピードタイプ、アミは典型的な鈍足パワー型ですね。

アミは中盤から加入なのですが、ストーリー中ではキャラをローテーションで使用することを強制されるので各々バランス良く育てなきゃいけません(画像はクリア後なのでアミ贔屓で育ててます。すみません…)

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概ね前作と比較すると歯応えはあるし爽快感も増したのですが、あくまでも前作比であるので一つのゲームとして見ると甘い部分は正直まだ多いです。

全体的に単調さは否めないしモーションもまだカクついてるのですが、それでも前作と比較すると大幅には進化していると思います。

 

サブネットワークの座標指定で裏ボスやこちらのレベル限界を超えた敵キャラと戦うことも出来るので、その点のやり込みに関しても前作と比べて充実してると言えますね。

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Roluaさんのキャラデザはこれはこれではなまる

クライスタのレビューではリウイチ氏のキャラデザを絶賛して氏の世界観に惚れ込んでいたのですが、今回リウイチ氏は参加せず代わりにRoluaと言う方がキャラデザに。

前作はキャラデザで買っただけにこの判断が少し残念だったのですが、遊んでみると逆にマキナの世界観ならRolua氏以外無いなと思うくらいには考えが変わりました。

 

崩れそうなほどの繊細な雰囲気の絵を描かれるのですが、これが今作の世界観に合ってたと言いますか。

人間と機械の間で揺れ動き、思惑に翻弄されながらも自身のエゴ貫いて戦い続けるパーティメンバーの生き様としっかりマッチしてたと思います。

 

それに何より、エノアはこの方のキャラデザありきなキャラにも思えますからね。

今作屈指の名キャラクターの魅力は、Rolua氏の画風とセンスによる所も非常に大きかったと思います。

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気になった所

敵の強さが理不尽

先に述べたように、今作は敵キャラが謎に強いです。装備を整えずレベルを適正にまで調整するだけでは雑魚の攻撃にすらワンパンでやられるなんてザラです。

装備を整えさえすればいいかと言われるとそんなことはなく、それでも数発受ければアウトくらいの気概でいた方がいいです。

今作は後援のエノアに回数制限有りの支援(画像左上)をしてもらう以外に回復手段もほぼ限られてるので、気軽に回復は出来ないですし。

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一方今作はレベル差補正が非常に大きいのでレベル差で殴れば比較的楽にはなるのですが、レベル上限がシナリオの進み具合で順次解放される方式なのでこれも何だかなぁと。

10くらいレベルが離れてないと碌な経験値がもらえない仕様もどうかと思いました。

 

理不尽を相手取るのが好きって方もいるかもしれませんが、ストーリーをゆっくり楽しみたいと言う人にはかなりキツいバランスなんじゃ無いかなと…。いわゆる「わからん殺し」も多いのでかなりストレスが溜まりました。

その点のヌルさと言うか間口の広さに関しては、前作の方が良かったような気もします。

まとめ

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世界観やキャラといったストーリー周り、そしてそれらに抜群にマッチしたキャラデザやBGMに関しては、今作でシリーズとしての信用を勝ち得たと言っていいのではないでしょうか。

キャラデザ変更で正直買うのを悩んだ時期もあったのですが、結果的には買ってやり込んだ上でクリアして正解だったと思います。

 

ただ、遊びとしては正直まだまだ至らない点が多いです。特に今作は被ダメージに関しては調整不足に思いました。

基本的に低予算でしょうしやれることも限られるのかもしれませんが、それでも今後のシリーズの動向は積極的に追いたいと思える一作でした。