『五等分の花嫁〜彼女と交わす五つの約束〜』レビュー

今回のレビューはこれ。

マガジンの大人気漫画『五等分の花嫁』のゲームシリーズ第3弾。公式の略称は『ごとかの』。

当ブログでもレビューした前作『ごときす』からたった1年後の続編発売となります。

 

にしても五等分も息の長いコンテンツですね。映画でストーリーは完結したのに、最近はまたアニメが始まったんでしたっけ。

コラボも未だにやりますしラブコメ漫画としては記録的なヒットを飛ばしただけのことはあります。

 

今回は全クリです。トロコンもしました。なお前作はみんなでルートのノーマルエンドから逃げた模様

プレイ時間は29時間

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以下、レビュー。正史ヒロインに関する言及はありません。

良かったところ

前作から趣を変えた、彼女と2人きりで紡ぐラブストーリー

前作に続きシナリオを読み進めるだけのゲームなので、前作からシステム面での変更はありません。UIや音楽も一部使い回してます。

シナリオ中たまに出て来る簡単な選択肢3つから一つを選び、好感度を上げて数字次第でエンディングがノーマル/グッドで分岐するのも同じ。よって、変更されたのはそのシナリオの方向性ですね。

 

前作は風太郎と選んだ告白相手+らいは&四姉妹とで沖縄に卒業旅行という内容でしたが、

本作では大学一年生の夏、風太郎と彼女で恋人同士水入らずの東京デートという内容になっています。

らいはと四姉妹は出て来ても回想やSNSでのやり取りに留まり、ルートによっては一切登場しません。一応ノーマルエンドでは姉妹全員集合ですが、ストレートにグッドエンドまで行けば四姉妹の活躍はほぼ無く終始二人きりの物語を楽しめるでしょう。

 

前作は付き合い始めなのもあって初々しさが目立ちましたが、本作では遠恋とはいえ付き合って半年なので関係性にある程度余裕があるのがポイントでしょうか。

二人きりだからこそ男女の揺れ動く心の機微にフォーカスしており、ファンゲームとしては勿論、どのルートも一つの恋愛物語としてとても良く出来ていると思います。

 

前作のグッドエンディングは結婚式でしたが、今作のグッドエンディングは大学四年のクリスマスイブに彼女にプロポーズするというもの。

前作と違ってシチュエーションも台詞の構成も全てが異なるものが各ルートで用意されており、それぞれの積み重ねと関係性の違いで大きく変化する風太郎の男としての見せ場を楽しむのも良いでしょう。

ノーマルエンドは風太郎がプロポーズの機会を逃して正月に五つ子と再会するストーリーになるのですが、これはこれで何だかんだラブラブな二人を見られるのでこちらもお勧めです。

 

ファンによっては、推しと風太郎の水入らずこそが見たかったという人も多いでしょう。そういう意味では前作よりも今作の方がニーズに応えてくれるという方も少なくないと思います。

個人的に、回想や一部ルートのSNSだけではありますが、風太郎の友達の前田と武田が出て来てくれたのは嬉しかったですね。

各姉妹の個性を大事にしたそれぞれ趣の異なるルート

ここからは各ルートで内容をレビューして行こうと思います。順番はプレイした順。

 

二乃ルート

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前作に続きツン成分が消えて、風太郎への想い爆発なデレデレ二乃を楽しめます。序盤で直接彼女の方から突撃お宅訪問してくれるのはこのルートだけ。

風太郎が東京の各名所に関する知識をどや顔で語ろうとするとしっかり諫めてくれるなど、単にラブラブなだけではなく尻に敷かれそうな感じが良かったですね。

 

プレイしてて、姉妹の中で実は二乃が一番歳相応で普通の感性を持った女の子なのではないかと感じました。

恋愛に対してひたむきな姿は勿論、それと同じくらい自身の夢に対して真っ直ぐな姿にもフォーカスが当てられるのがこのルートのポイントだと思います。

夢見がちな恋する乙女と、そんな彼女の恋人として相応しい男に成長した風太郎を見られるグッドエンディングは大必見です。

 

五月ルート

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前作では風太郎の恋人で在ろうと無理をし過ぎてアクシデントが起きることもあったのですが、前作を経て想いの芽生えた素直な五月がとても可愛いルート。東京に来ても食べ物のことで頭がいっぱいなのは実に彼女らしかったです。

また、恐らく全ての五等分の作品において唯一風太郎の職業が判明するルートだと思われます。

 

しかしなんと言ってもこのルートは五月が「上杉君」呼びを捨てるシーンの圧倒的な破壊力です。それまでのストーリー展開の積み重ねもあって、何気ないシーンを最良の形で魅せるスタッフの技量の高さに驚かされました。

前作の一花ルートのキスシーンと並び、個人的にはシリーズでも屈指の名シーンとして認識しております。

正直、五月が推しという人はこのルートの為だけにお金を出しても絶対に損はしないレベルと断言出来るのではないでしょうか。

 

三玖ルート

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前作では三玖がちょっと気遅れしてしまったので、その挽回の意味も込めて必死でイチャイチャしようとする姿が不器用ながらも健気な三玖らしいルート。

でもそんな風に不器用なのは最初だけで、いつの間にか自然といい感じの距離感になってるのがまた良い。なんやかんや前作と違って半年は恋人やってるという年季を感じさせられます。

 

ヒロイン視点の描写は他より多めって感じでしょうか。そのぶん1日目と2日目の分量が多く、3日目はカットされてますが内容の濃密さは他と全く遜色ありません。

自分のせいですがこのルートだけいい感じの選択肢を中々選べず一週目はノーマル確定だったのが悔しかったですね…。先にノーマル見るの嫌だったので他のデータでグッド選択肢選びまくって強制的にグッドを先に見ましたが。

原作でも本ゲームでも明かされませんでしたが、三玖が付けてるヘッドホンの意味は気になりますね。今後何かしらの媒体で触れられるのでしょうか。

 

四葉ルート

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最初の二日は風太郎のミスによってデートが潰され、風太郎のバイト先の飲食店で二人で働くことになる異色のルート。

そんなことになっても問題なく仕事に順応して、「一緒に居れるだけで幸せ」と純粋な気持ちで言ってくれる四葉は良い子を通り越して聖女ですね。SNS風太郎にひとこと言ってやらないと気が済まない235とのギャップにちょっと笑いました。

バイトパートでは変な客に絡まれる四葉を毅然と守る風太郎がカッコよかったです。その後の四葉の反応も可愛かった。

 

やっぱりこの二人は恋人になっても変わらない安定感があると感じました。風太郎もらいはがいる分、天真爛漫で素直な性格の四葉が可愛くて仕方がないんでしょうね。

プロポーズも変に凝ったものにせず、この二人だからこそという内容なのがスタッフによる強いリスペクトを感じられました。

 

一花ルート

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売り出し女優として躍進を重ねる一花との距離感を測り兼ねて、間違いなく愛しつつも彼女にどう接すればいいのか分からなくなってしまう風太郎の弱い一面が浮き彫りにされるルートです。

自分が一花の足枷になることが怖い風太郎と、等身大の人間同士として愛し合いたい一花。前作の告白で風太郎が言った内容がある意味自分に跳ね返って来てるのは少し皮肉を感じますね。

 

そんな風太郎と一花の間に出来た一枚の氷も、物語中でしっかり溶けてなくなります。

そこからは他のルート同様にラブラブな二人を見られるので、物語として一番起承転結の起伏があって面白かったのはこのルートでしょうか。

物理的距離の隔たりが薄いのもありますが、前作同様にこの二人は他と比べて恋人関係として一歩先にある印象を受けました。プロポーズも大人な雰囲気で良かったです。

 

 

 

今回は細かくレビューしましたが、どのシナリオも完成度が高いのでファンなら必見の出来だと思います。

正直、ちょっと自己嫌悪するくらいラブラブなので前作と違って自分は少ししんどさも感じたくらいです。

 

どれも素晴らしいのですが、やっぱりイチオシは五月ですかね。前作も含め一番このゲームならではのストーリーって感じがしますし、五月が推しの人はやらないと本当に勿体無い大満足のクオリティだと思います。

豊富なエクストラストーリー

前作と違って、番外編ストーリーが多いのも大きな要素です。と言っても最初はロックされておりメインルートをちゃんと終えないと解放はされないのですが。

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これら全てのルートにそれぞれ5人分が用意されており、エピソードの数だけなら前作を普通に超えています。本編中では控えめになった五つ子達の絡みは主にこちらで堪能出来ます。

前作『ごときす』と前々作『ごとなつ』のデータがあれば、それぞれの番外編が5人分開放されるのも嬉しい所です。ごとなつはやってないので解放されてませんが、ここまで来ると内容が気になってしまいますね。

 

この中でも特に温泉旅館は原作の補完としても非常に秀逸な感動エピソードに仕上がっており、5人分の限定スチルが見られるのでかなりお勧めです。

気になった所

風太郎の声が無い

前作でもそうでしたがこれは開発の拘りなのでしょうか。今作では回想でのみ普通に喋ったりするのでメインで喋らないのは余計に気になりました。

折角素晴らしいストーリーなのに風太郎がフルボイスでないのは勿体無いです。正直、プレイヤーとの一体感に配慮してるとしてもその必要性が感じられません。

 

個人的に、前作も含めてDLCでいいからボイスを収録して欲しいです。

まとめ

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正直前作が良過ぎたので不安が大きかったんですが、全くもって杞憂に終わりました。前作とまるで遜色ないクオリティのシナリオ、そして何よりもスタッフの原作愛とキャラ愛をこれでもかと感じられる甘々純愛な傑作ゲームになっています。

 

前作に続き、こんな風にファンが見たいものを最高の形で公式から出して頂けるのは本当に有難いことですし、色んな意味で五等分というコンテンツはこの上なく恵まれてると思います。

だからこそ終わった後の喪失感が凄まじく、こんな感覚を何度も同じコンテンツで味わえるのはそうそうありません。五等分ファンで良かった、心の底からそう思えるゲームです。

 

五等分が好きなら全く買って損はありませんし、推しと風太郎が二人きりでラブラブな姿を見たい人にはこの上なくお勧め出来る一本です。