『SEKIRO : SHADOWS DIE TWICE』レビュー

今回のゲームはこれ。

今や世界に名を馳せるフロム・ソフトウェアから2019年に発売された高難易度アクションゲーム。

2019年のGOTYに選ばれるなど、輝かしい記録と評価の数々を誇る一流の名作ゲームです。

 

来ましたフロムゲー。時にはこう言うゲームにもチャレンジしてみようかと思いましてね。

 

今回は中ボス含め全てのボスを撃破しました。

ここまでのプレイ時間は66時間

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以下、レビュー。

良かった所

難易度は激高だが、気合いと根性でクリア出来る絶妙なバランス

大前提として、このゲームは死にゲーです。フロムは主にこのジャンルで世界的な地位を築いていることは有名ですが、今作もその流れの中にある物という認識は必要でしょう。

その手の作品を自分は『Cuphead』や『Shinobi』くらいしか遊んでないのですが、SEKIROはそれらと比較しても明らかに難易度が高いです。

 

故に、半端な覚悟での購入は推奨しません。

雑魚の攻撃にすら半分近く持ってかれるなんてザラですし、中ボス含めボス格は一部例外を除いて気を抜けば速攻でボコられて瞬殺されるくらいの本当の意味での強敵ばかりです。

 

具体的には序盤の大ボスである弦一郎を倒すのに、自分は実に7時間ものプレイタイムを費やしました。他の大ボスも平均して3〜4時間は掛かってるかと。

その時の練度にもよりますが、中ボスでも大体40分か1時間は掛かってるかと思います。

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しかし、このゲームを語る上でのキモは決してそれらボスの強さが「理不尽」な物ではないということです。

どのボスもモーションそのものはラスボスまで含めて真剣勝負を重視した正統派路線が殆どであり、あからさまなクソ技なんてのもありません。

 

技の見極めやガードなど、どんなに苛烈な攻撃でもアクションゲームとして当たり前のことをちゃんと守っていれば少しずつ活路が見えていつか必ず勝てます。死んで死んで死んで死にまくって、敵の動きを頭ではなく脊髄に叩き込むのは死にゲーにおける共通の面白さと言えるでしょうか。

その末に勝利を勝ち取る喜びは何物にも代え難いです。中でも義父なんてそもそもが強過ぎるのもあって精神的な擦り減りも尋常ではなく、勝った時は飛び上がってしまいました。

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このゲームに必要なのは、類稀なセンスや豊富なゲーム経験でもありません。

すなわち気合いと根性です。いつか必ず勝つ!という鋼の意志さえあれば本当にどんなに強いボスでも突破出来ます。そしてそれに呼応してプレイヤーも気付かぬ間に成長出来ています。

SEKIROから逃げるなと言う格言は間違いではありませんね。逃げさえしなければ確実にプレイヤーは一歩ずつ成長出来てますから。

 

実際、クリア後に先ほどの弦一郎に再度挑むとかつての苦戦がウソのように技の一つ一つが冷静に対処出来るようになっていた上に、自分でも驚くくらいあっさり倒せてしまいました。

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過酷な戦いや旅を通していつの間にか成長してるというこの感覚は強いて言えばあの『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』以来でしょうか。

RPGみたいに順当さや理詰めで強さを構築するジャンルでは間違いなく味わえませんし、開発の優れたバランス感覚と何よりもプレイヤー目線が無ければ成し得ないでしょう。

 

尋常ならざる難易度にも関わらずこれ程多くの人が魅了され、世界中から極めて高い評価を受けたのも納得でした。

圧倒的なスピード感と緊張感で繰り広げられる白熱の剣戟

死にゲーかつアクションゲーなので、プレイヤーに何度もリトライさせるにはその根本となる戦闘が楽しい物でないと話にならないと個人的に思います。

その戦闘はですが、まず間違いなく自分がこれまで遊んだアクションの中でもトップクラスに面白いです。正直、ゲーム史に残るクオリティではないかなと思います。

 

サブウェポンの義手忍具とか強化アイテムもありますが、自分はそんなの基本使ってないです。せいぜい手裏剣くらいか。

それを駆使するのも楽しいでしょうが、個人的にはですがこのゲームは男らしく刀のみで挑むのが一番楽しめると感じました。

 

剣と剣がぶつかり合う迫真のSEと忍者のスピード感、一撃一撃が致命傷となりう得るゲーム性も相まって、非常にリアリティのある真剣勝負を体験できます。プレイヤーの成長にPCが応えてくれるのもあって、ある種真に上質なゲームは映画体験を超えることを証明しているのではないでしょうか。

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難易度が高いことを除けば基本的にはシンプルでオーソドックスなアクションゲームなのですが、戦闘の面白さを一層引き立てているのは何といっても今作独自の"体幹システム"でしょう。

画像上下のメーターがそれなのですが、敵の攻撃を弾いたり攻撃を蓄積させたりすると溜まり、満タンになると相手の残留HPに関係なく赤い丸が出て体勢を崩しそこに一撃必殺(忍殺)を決められます。

 

自身のそれが満タンになるとよろめいて大きな隙を晒すことになってしまいますが、この駆け引きがまた本当に面白いんですよね。

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弾き…ゲームの共通用語で言えばパリィですが、敵の攻撃に合わせてボタン押しという性質上どうしても最初は狙っても上手く行きません。

しかしこれをある程度でも狙って出せるようになるとそりゃもう楽しいなんてもんじゃないです。戦闘に慣れれば慣れるほど作業感どころか楽しさが増すのが凄いです。

ガードで防げない突きなどの危険攻撃にも見切りなどで体幹にダメージが通るので、敵の攻撃を正確に捌いて受けて一撃必殺するあの快感は全SEKIROプレイヤーを虜にしたものと思います。

 

中でもラスボス戦はそれまでプレイヤーが積み重ねて来た経験の全てが試され、どんなに練度が高くても文字通り「迷えば敗れる」ような正に最後の壁です。

鬼畜ゲームのラスボスに相応しい恐ろしい強さなのですが、正直今こうして記事を書いてる最中にでもまた戦いたいと思えるほど楽しかったです。完全に洗脳されていますね。

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古典の日本らしさを詰め込んだ魅力的な世界観

今作は戦国時代の日本を舞台とした作品なのですが、これもまた本当に良く作り込まれています。

同じような題材は『ゴーストオブツシマ』が挙げられると思いますが、あちらが膨大なリサーチとリスペクトの基に出来てるのに対し、こちらは生粋の日本生まれ日本文化マニアのセンスと夢中が作り上げた結晶みたいな感じを受けました。

 

リアリティのある戦国時代の血みどろだけでなく、山一帯を根城とする巨大な白蛇や首無しの怨霊、おとぎ話に出て来る天人を彷彿とさせる貴人などそういった和風ファンタジーな要素が惜しげもなく散りばめられ、日本人のツボを押さえた非常に魅力的な世界観を構築しています。

どの景色も絵になるし、古典マニアにとっては溜まらないと思います。キャラの言葉遣いも時代を感じさせる古風で綺麗なものが多く、没入感は非常に高いです。

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ストーリーも細かい部分は多くを語らないのですが、本筋は綺麗に纏まってますし好きです。ムービーも長くないし、諸行無常の物語として切なくとも胸にしっとりと染み渡る感じが良かったですね。

気になった所

生半可な気持ちで手を出してはいけない

最初にも言いましたが、やはりこのゲームに手を出すには事前リサーチは必須です。

慣れると楽しいとはいえ類を見ない高難易度ゲーなことには全く変わらないので、軽い気持ちで始めると100%投げるでしょう。

 

個人的には死にゲー初心者であっても、他のゲームで何度も挑んで勝つと言う経験をしてからの方がいいと思います。

まとめ

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これぞ正に男…いや、のゲームと言えます。何度負けても折れぬ心を持つ者だけがエンディングを見る資格があると言えるでしょう。

迂闊に手を出していいゲームでないことは間違いありませんが、それでも自ら地獄へと足を踏み入れるには期待通りの洗礼を与えてくれます。

 

その洗礼を掻い潜った先には、必ず何か大きな物が得られるはずです。精神論的な話にはなりますが、頑張れば諦めなければ何とかなる、そして間違いなくそれは自身の糧となる、と言うことをこの世の何よりも体感できる作品だと思います。

 

何故フロムがここまで世界で評価されるのか、その一端をこのゲームを通して知ることが出来ました。スタッフがゲーム作りに命を懸けてないとこんな作品作れないと思います。

アクションゲームとしては一つの到達点とも言ってよく、難易度に抵抗が無いのであればアクションゲーム好きも是非一度遊んでみてほしいですね。