『東方少女綺想譚』レビュー
今回のレビューはこれ。
同人サークル『第N本鋪』によるスイッチでDL可能な東方二次ゲーム。
かのSFCの名作『スーパーマリオRPG』の東方パロディだそうです。よってサブタイトルも、そのまんま"SUPER TOUHOU RPG"。
スイッチの東方二次ゲーレビューは『幻想少女大戦』に続いて2作目ですね。あれが非常に面白かったので、最近配信された今作を流れで購入しました。
クリア状況は、裏ボス含め各所イベントボスを全員撃破したって所。その上でラスボスを撃破。
プレイ時間は約24時間。
以下、レビュー。
良かった所
めちゃくちゃテンポが良くて楽しい戦闘システム
自分はスパマリRPGをやったことは無く、その派生である『ペーパーマリオ』や『マリオ&ルイージRPG』はそこそこ遊んでます。本作のパロ元であるスパマリRPGはそれらのご先祖様と言えますが、それだけにペパマリやマリルイしか知らなくても今作は十分に楽しめました。
ターン制コマンドを軸に、敵の攻撃はタイミング良くボタンを押してガード。自機のターンでもボタン連打やタイミングよくボタンを押すアクションが求められたりと、戦闘は正にマリオRPG系統のそれでした。
最後にこの系統を遊んだのは確かDSのマリルイ2ですね。凄く懐かしいゲーム制で滅茶苦茶楽しかったです。
マリオRPG系を遊んでる人は分かると思いますが、レベルよりもとにかくボタンアクションとガードタイミングの見極めが非常に重要です。魔法攻撃とかはかなりタイミングがシビアですが、上手くやればガード出来ます。
このシステムで緊張感のある戦闘を楽しめるのがシリーズの醍醐味なので、そこをリスペクトして再現出来てるのがとても良いと思いました。
原作のものは知識でしか知りませんが、いわゆる"なにかんがえてるの"も実装されてます。
こいしの特技である"お姉ちゃんカモン!"でさとりが敵の心の中を読み、ステータスとついでに今何を考えてるのかを教えてくれます。ボスキャラは勿論、雑魚一体一体にも異なるテキストが用意されてるのが実に凝ってますね。
ゲームスピードの速さも評価したい所です。敵のターンも味方のターンもかなりスピーディに行われ、テンポ良くとんとん拍子で進みます。
これはまあ反射的なアクションを求められるがゆえにそうなってる面もありますが、個人的には本家よりもテンポが良くて楽しかったです。経験値は入りませんがお札をフィールドで雑魚に投げれば戦闘するまでも無く雑魚を消せるので、面倒な配置の雑魚はこれで潰せます。
マリオRPG系、特にマリルイが好きって人もかなりすんなり楽しめるのでは無いでしょうか。
マリルイがもう今後の展開厳しそうな中で、これがスイッチで出たのは有り難いことだと思いました。
色んなギミックや小ネタがある凝ったフィールド
本作の売りの一つとなるのは、ドット空間で再現された幻想郷という要素です。博麗神社や紅魔館と言った東方お馴染みのスポットが丁寧なドットで描かれ、それらを探索出来るのは大きな魅力です。
本作はお金の出がかなり渋く、何とかして金策を捻り出すのは余り推奨出来ません。
代わりにフィールドの至る所にアイテム箱が置いてあり、戦闘不能からの復活アイテムや強力なアクセサリーは比較的そこで手に入り易いです。その為、効率的なアイテム補充目的でも積極的な探索が推奨されると思います。
ただ探索するだけのフィールドでは無く、ギミックや小ネタが多いのもマリオRPG系ぽいなーと思いました。
赤い陰陽玉に札を投げてワープが出来る様になったりして、ストーリーを進める度に霊夢のフィールドアクションが増えて行きます。既に行き終わったフィールドにアクションが増えればまた戻り、探索し直すのもいいでしょう。
キャラの個性を活かしたミニゲームも豊富です。
赤蛮奇の頭を飛び移るみたいな移動過程のギミックでもTAが記録されたりして、やり込み要素として楽しめます。
至る所に配置されてるサブイベント
本作はストーリーをこなすだけで無く、イベントボスなどの限定イベントもかなり豊富。発生フラグがほぼノーヒントゆえに意識してイベント周りするなら攻略サイトが必須ですが、それでもやる価値はあると思います。
特にストーリー中で味方になるのはこいしと天子だけなので、咲夜やウドンゲみたいな他の仲間を集めたければイベントを探すしか無いです。
意外にも魔理沙は仲間にならないので注意。一応道端で取れるキノコの種類によってアイテムと交換してくれたりする役目はありますが。
超強力な裏ボスが用意され、他にも星熊勇儀なんかはラスボスともタメを張る強さだったので歯応えがあってかなり印象に残りました。
後半で出会うイベントキャラ程強力です。戦闘が楽しい今作としては嬉しい作り込みでした。
中にはストーリーや戦闘とは無関係なサービスイベントがあったり、某法務部が出動して来そうなギリギリアウトな小ネタもあります。
特に後者は実際にプレイしてその場所を見つけるまでのお楽しみだと思いますw 色んな意味で必見です。
気になった所
癖の強過ぎる立ち絵
何と言いますか本作はスパマリRPG的な部分より、真っ先に目に入るのはテキストにおける立ち絵なんじゃないかなぁと。
タイトルに載ってる霊夢の絵を見て分かる通り、とにかく大半のキャラが過剰なまでに巨乳です。それだけならまだしも、中には蠱惑的なポーズを取ったキャラがいたりとかなり強烈なセンスの立ち絵が殆どを占めます。
第N本舗の運営者であるn氏曰く、本作は「1から100まで私の大大大好きな要素だけで作ったゲーム」とのこと。第N本舗がそもそもR18な同人作品をメインに活動されてるのもあり、n氏の趣味嗜好をセーフな範囲で盛ったのがこれらの立ち絵と思われます。
流石にロリな三妖精とかは自重してますが、中高生以上の見た目年齢のキャラは高確率で氏のイメージが投影されてるように思います。
正直人を選ぶというよりは、東方二次の一般向け作品としては解釈違いな方がいそうで少し気になりました。幾ら東方が同人的解釈全般に極めて寛容とはいえ…。
最も、本作のストーリーは単純明快かつ終始コメディ寄りなので作風に合ってるとは言えますが。結局は好みの問題なのかもしれません。
まとめ
幻想少女大戦がキャラゲー、ストーリー寄りなのに対し、本作はシステム寄りと言った印象ですね。
旧スクウェア&任天堂タッグの名作をリスペクトしているだけあって、遊びとしては非常に完成度が高いです。プレイ時間は全クリした上でさして長くはありませんが、とても濃密なゲームプレイでした。
問題はその癖の強い立ち絵、キャラクターは全て霊夢とは知り合いでプレイヤーも既知の前提で話が進むと言った所でしょうか。あとBGMは全てフリーの物を使用してるので、東方BGMのアレンジを期待したい人は注意です。
諸々総合して、東方キャラで歯応えのある本格的RPGを遊びたいという人にはオススメの一作だと思います。東方キャラが好きで尚且つマリオRPG系が好きって人にも非常にオススメです。