今回はこのゲームをレビュー。
2018年にフリューから発売されたアクションRPG。今年の2月にスイッチ版も発売されました。
前から気になってはいたんですけどね。やっと今回プレイすることが出来ました。
この度、シレンを全クリアし、死者回想録を全て埋めました。
ここまでのプレイ時間は約42時間。
以下、れびゅーだヨ!
良かった所
きゃらくたーでざいん、ぱーふぇくと!
今作のキャラクターデザイン担当はリウイチさんという方なんですが、この方のキャラデザはまー僕にクリーンヒットで刺さりまして。
普段その様な動機ではゲーム買わないんですが、多分ゲームにおいては人生で初めてのキャラデザ買いだと思います。
これパッケージのデザインなんですが、素晴らしいですよね。何年か前にファミ通本誌でこの絵が載ってるページを見て電流が走ったのをよく覚えてます。
結局ちゃんと買うのはそこから年月が経ったんですけどね。余り知名度の高くないゲームにも関わらずそれでも今まで忘れずに覚えてたのは、やっぱりこのキャラデザの力が大きいかなぁと。
可愛いのは大前提なんですけど、服装や装飾品のセンスにディティールの細かさ、色白で儚げな雰囲気まで全てがドンピシャでした。
上の画像は主人公の"幡田零(はただ れい)"なんですが、他のキャラクターも本当に良いです。
公式サイトから一例として、"メフィス"と"恵羽千(めぐみば せん)"の絵を転載します。
ストーリー中にムービーなどは殆ど無く、立ち絵とテキストとボイスのみのいわゆる紙芝居形式メインで進むんですが、その立ち絵が良過ぎて全く苦になりませんでした。
プレイとやり込みのモチベーションを最後まで保てたのは、個人的にこのキャラデザの力もかなり大きいです。
今作が発売されてからもうじき四年が経ちますが、リウイチさんにはクライスタ以外の大きな仕事が未だに無いのがとても意外です。
ここまで高い画力とセンスがありながら、デザイナーの世界ってやっぱり厳しいですね…。
えんじょいでえきさいてぃんぐな仲間たちと、切なくて熱いすとーりーネ!
舞台は"辺獄"と呼ばれる死者の魂が集う異世界。
引きこもりの少女"幡田零"とその妹"みらい"はある日突然辺獄へと引き摺り込まれ、異形が跋扈する異世界の激しい混乱の中で零はみらいを殺害してしまう。
悶える程の罪悪感に苛まれる零だが、そんな零の前に辺獄を管理する双子の悪魔"メフィス"と"フェレス"が現れる。
双子の悪魔は零に「七つの理念(イデア)を集めれば死んだ妹を"ヨミガエリ"させてやる」と嘯く。その代わり自分達と契約し、辺獄に巣食う自らヨミガエリをしようともがく有害な魂、"幽鬼"や"幽者"を悪魔に代わって退治する"代行者"になってもらう、と。
零は、これを迷わず承諾。
仲間との出会い、強敵との戦い、明かされる衝撃の真実…。みらいをヨミガエリさせる為の零と様々な目的で辺獄に引き摺り込まれた仲間達の、壮絶な戦いが幕を開ける——
と、物語はこんな感じです。殺してしまった妹を蘇らせる為の物語と、導入は比較的王道。
しかし、今作のテーマは「涙」。あまりネタバレは言えませんが、報われない展開やキャラクター達の重たい過去、特に終盤辺りはかなりキツい仲間同士のギスギスもあったりして全体的には重苦しい作風と言えると思います。
これは敢えてネタバレしますが、最近流行りの所謂「ループ展開」に途中で突入したりもします。
物語の三章分を合計三度繰り返すことになるのですが、物語の本番は寧ろここだと思います。この辺りに物語の種明かしやどんでん返しが詰まってるので、先が非常に気になるシナリオが続きます。
胃が痛くなる様な展開もかなり多いのですが、最終的には「涙を沢山流したからこそ」という感じの非常に熱い王道展開に。涙に意味を与えてあげて、という今作のキャッチフレーズはクリア後だからこそ重く響くものがありました。
キャラクターも全体的に好印象。
偏食ポテトウーマン仲間との触れ合いを通して少しずつ前向きになって行く零、見境なし抱きつきカラテウーマン大切な人を殺された復讐の為に突き進む小衣(こころ)さん、ラーメン大好き恵羽さん正義と情愛の間で揺れ動く千、辺獄史上最悪のバグキャラえんじょいでえきさいてぃんぐな幽鬼の777。
パーティーメンバーはこの四人ですが、それぞれしっかり掘り下げてくれるし見せ場もちゃんと用意されてます。
演技も言動も有り得ないほど憎たらしいメフィスとフェレスや真の敵と見せかけて…なアナムネシスなど、パーティーメンバー以外のサブキャラやヴィランも凄くキャラが立ってました。
基本的にキャラデザも相俟って全員好きなんですが、中でも777はお気に入り。
時に辛く重たい雰囲気を纏う様になる仲間達の中で常に"えんじょいでえきさいてぃんぐ"を崩さず、元気で健気な性格もあって特に好感が持てるキャラでした。
それに戦闘においては鬼神の如き強さを発揮する777ネキなので、必然的に頼る機会も多くてインパクトに残り易かったのもあります。
ストーリー、キャラクター。
キャラデザが優れているのは勿論、この二つも全く負けていない程素晴らしかったです。
怖いけど、綺麗で凄い世界だヨ!
初めから最後まで幽鬼や幽者の蔓延る辺獄を動き回る今作。
その辺獄の景色や雰囲気はこれまた非常に素晴らしく、独特の色合いもあってどのステージをどの角度から撮っても絵になると思います。
こんな感じに剣が円状に広がって空を覆ったり大剣が突き刺さってたり、かなりロマンを感じますよね。
エネミーの種類ははっきり言って少ないんですけど、どのエネミーも雰囲気に合った何とも言えないデザインだったりして個人的には好きです。
それからこの作品におけるエネミーの殆ど全て、元々は人間です。
彼らが落とす"死念"というアイテムを手に入れることでその生前の人生が記憶という形で垣間見えるのですが、作風が重いだけあって報われない鬱エピソードが多いのが特徴。記憶を全て埋めるには同じキャラを計三回倒すことが条件です。
ボスキャラでも三回倒せば、記憶という形でその人となりが見えたりします。
この様な雑魚ですら重たい設定を抱えたものが多いのですが、これらの設定の細かさも世界観に深みを与えてる要因になってると感じました。
また、一部ではかなり重要な裏設定がさりげなく載ってます。ストーリー中ですら語られない一部キャラの核心に迫る様な記憶もあったりして驚きました。
気になった所
ゲームプレイは大味
一応今作はアクションRPGですが、その点のクオリティはあまり高くないと感じました。
操作感は『無双シリーズ』に近く、連打による連続攻撃を主体にストレスの無い直感的な操作は可能です。ただ肝心のモーションがどうにも固くて、あまり見栄えは良いとは思えませんでした。
難易度も全編通して非常に低く、ボス含めどんな敵を相手するにせよゴリ押しが最も効率の良い戦い方って感じがあります。なので、よっぽどのゲーム下手でも無い限り最後まで苦労はしない気がしました。
複雑なシステムや操作とかも一切無いし、ユーザーライクと言えば聞こえは良いのですが、余りにもヌル過ぎてちょっと物足りませんでした。
死念を零が泣いて浄化し武器を手に入れる、というシステムはユニークだとは思いましたが…。
今作のメインはその世界観と完成度の高いストーリーであり、戦闘はそのアクセント程度に考えたらいいと思います。
まとめ
アクションRPGとして大味なのは無視出来ません。
ですが、やはりその優れたキャラデザと非常に凝った世界観、それらが紡ぎ出す素晴らしいストーリーはお金を出して体験しても全く損はありませんでした。
歯応えのあるゲームプレイより、完成度の高い物語をアニメ感覚でゲームとして楽しむ。そんな作品だと思います。
特にリウイチ先生には、今後も色んな仕事が有っても有り過ぎることは無い様に思えます。先生の更なる躍進と知名度の向上を心から願いたいですね。